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“シーギリヤ登頂がこわいあなたへ”

 

2024年12月8日(2025年11月15日更新)

 

今日は、実際に役立つ高所恐怖症の対処方法についてお伝えしたいと思います。と言いますのも、かくいう私自身も高所恐怖症でして、旅行会社にいながら高い場所では足がすくんでしまうことが少なくありません。長年の経験から「完全に克服する」のは難しいと感じていますが、それでも“怖くならない状況をつくる方法”は確かに存在します。

高所恐怖症の正体は、「落ちるかもしれない」という心理が突然湧き上がり、その感覚に心と体が支配されてしまうことにあります。本来は安全であっても、脳がその安全性を受け入れられないまま不安を膨らませてしまうため、足がすくんでしまうのです。したがって、現実の危険性とは別に、「落ちなさそうだ」と自分自身が思い込める状況を整えることが、何よりも有効な対処となります。

たとえばシーギリヤの場合、怖さを感じるのは岩山の中腹にある階段を登っているときです。このとき、前後に人がいる状態だと不思議なほど恐怖が軽減します。これは、人が近くにいてくれるだけで“もし踏み外しても支えてもらえる”という安心感が生まれるためです。極端な言い方かもしれませんが、「落ちることはない」と脳が思い込みやすくなるのです。人の存在は、心理的な安全の支柱としてとても強く作用します。

このため、高所恐怖症の方にとって最も避けたい状況は、空いている時間帯にひとりで登ることです。周囲に人がいないと、“落ちてしまうかもしれない”という不安が一気に膨らんでしまいます。逆に、多少混雑しているくらいのほうが安心して登れます。

ただ、見ず知らずの旅行者に囲まれていると、「自分もペースを合わせなければ」と必要以上に焦ってしまうことがあります。そこでおすすめなのが、家族や友人、もしくはガイドと一緒に登る方法です。「ちょっと後ろをついてきてほしい」「あまり離れずに歩いてほしい」と最初にお願いしておくと、心理的な安心材料が増えて、体の緊張が和らぎます。

高い場所が平気な人からすると「そんなことで変わるの?」と思われるかもしれませんが、実際には非常に大きな違いを生みます。高所恐怖症の怖さは、本人にとっては決して大げさなものではなく、心と体が本能的に反応している状態であり、とても切実な問題です。ですから、今回の方法を試してみる価値は十分にあると思います。

なお、高所恐怖症への向き合い方は、実はこのシーギリヤに限らず、多くの場所やシーンに共通しています。飛行機、展望台、山道などさまざまな場面で応用できるのですが、これを語り始めるとかなり長くなってしまいますので、また別の機会に詳しく書きたいと思います。

ご自身の旅が、安心しながらもしっかり楽しめる、充実した時間となることを願っています。

 

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