“スリランカおすすめの観光スポット”
2025年11月3日
インド洋の中央に位置するスリランカは、面積約6万5千平方キロメートル、北海道の約0.8倍の広さを持つ島国です。古代からインド亜大陸とアラビア、東南アジアを結ぶ中継地として発展してきました。紅茶や宝石などの生産国としても知られ、宗教・言語・気候が地域によって大きく異なります。
島全体は大きく「乾燥地帯(北部・東部)」と「湿潤地帯(南部・中部高地)」に分かれ、短期間の旅行でも遺跡観光・ビーチ・サファリ・紅茶体験など多様なテーマを組み合わせられるのが特徴です。
今回は、初めてスリランカを訪れる旅行者に向けて、アクセス・所要時間・見学ルールを含む主要観光地を紹介します。
1. シーギリヤ・ロック(シーギリヤ遺跡)
スリランカ観光の象徴とされる世界遺産。中央部マータレー県に位置し、コロンボから約170km、車で4~5時間。ダンブッラを拠点に観光するのが一般的です。
高さ約200mの岩山は5世紀の王カッサパ1世によって築かれた要塞宮殿で、頂上には王宮跡、岩肌には「シギリヤ・レディ」と呼ばれる壁画が残ります。登頂には往復約1時間半を要しますが、朝7?9時が最も快適です。
壁画区画は写真撮影禁止。中腹には「ライオンの門」があり、かつて巨大な石造獅子の前脚が王の権威を象徴していました。遺跡入口には考古学博物館が併設され、英語表記の解説パネルも整っています。
近隣にはホテルが多く、欧米旅行者の宿泊地としても人気。ダンブッラ石窟寺院と合わせて訪問すると効率的です。
2. アヌラダプラとポロンナルワ(古代王都群)
シギリヤと並ぶ世界遺産。どちらも古代スリランカの仏教文化を象徴します。
アヌラーダプラは紀元前4世紀に建都された初代仏教王国。現在も仏教徒の巡礼地として機能しています。市街の中心にある「スリー・マハー・ボーディヤ」は、釈迦成道の菩提樹の分木で、2,000年以上生き続ける世界最古の人為植樹とされています。周囲には高さ100mを超える白亜の大塔ルワンウェリ・サーヤ、古代給水施設トゥパラマ・ダガバなどが点在します。
ポロンナルワは11~13世紀の首都で、保存状態が極めて良好。寺院跡・王宮跡・浴場跡が整然と残り、特に「ガル・ヴィハーラ」の4体の花崗岩仏像(立像・座像・涅槃像)は必見です。
どちらも遺跡が広いため、自転車またはトゥクトゥク周遊が一般的。入場料は各30ドル前後。乾季(12~3月)が最適期です。
3. キャンディ(仏歯寺と高原都市)
中央高地の中心都市キャンディは、標高約500mに位置し、コロンボから鉄道で約3時間半。旧王朝時代の伝統文化が今も残る町です。
最大の見どころは「仏歯寺(ダラダー・マーリガーワ寺院)」。釈迦の歯が奉納される寺院で、朝と夕方に儀式(プージャ)が行われます。訪問時は服装に注意が必要で、肩や膝を覆う服装が求められます。
キャンディ湖周辺は整備が行き届き、伝統舞踊の公演やスリランカ料理のレストランも多く、徒歩観光に適しています。7~8月の「エサラ・ペラヘラ祭」は国内最大の仏教行事で、象の行進や太鼓隊が街を練り歩きます。期間中は市内ホテルの予約が難しいため、半年前の手配が推奨されます。
近郊にはペラデニヤ植物園があり、スパイスや熱帯樹木の栽培が観察できます。
4. ヌワラエリヤ(紅茶の高原地帯)
キャンディから車で約2時間半。標高1,800mのヌワラエリヤはスリランカ紅茶産業の中心地です。
年間を通じて涼しく、4~5月と8~9月が茶摘みシーズン。市内には「マッケンジー茶園」など見学可能な工場が点在し、見学後に試飲もできます。
植民地時代の名残で英国風建築が多く、「ヒルクラブ」などのホテルはクラシックな雰囲気を保っています。
周辺にはホートン・プレインズ国立公園があり、断崖「ワールズエンド」やベーカーフォール滝など、標高2,000m級のトレッキングコースが人気です。入園は早朝6?7時が最適。午前10時を過ぎると霧が発生し視界が悪化します。
紅茶購入なら「Pedro Tea Estate」の直売所が品質・価格とも安定していて人気があります。
5. ゴール旧市街(オランダ要塞都市)
南西部の港町ゴールは、コロンボから高速鉄道または車で約2.5?3時間。16世紀以降のポルトガル・オランダ・英国の建築様式が残る世界遺産都市です。
城壁(フォート)は長さ約3km。城内は車両制限があり、徒歩での散策が基本。ゴール灯台、旧オランダ教会、時計塔、海沿いの城壁遊歩道が主要見学ルートです。
現在ではカフェ・ブティック・ゲストハウスが増え、再開発が進行中。特に夕刻の灯台付近は撮影スポットとして知られます。
周辺のウナワトゥナ、ミリッサでは海水浴・ホエールウォッチングが盛んで、乾季(11~4月)はシロナガスクジラの観察も可能です。
6. コロンボ(首都エリア)
経済・政治の中心地。観光客にとっては到着初日または最終日の滞在地として便利です。
主要観光地は、旧市街フォート地区(オランダ時代の建築群)、ガンガーラマ寺院、独立広場、国立博物館。近年は高層ビル群が増加し、商業モール「One Galle Face」や海辺の遊歩道「ゴールフェイスグリーン」も整備されています。
2024年に一部開業した「ポートシティ・コロンボ」は人工島の新都心で、今後は国際会議場やカジノを含む統合観光開発が予定されています。
交通面では、空港(バンダラナイケ国際空港)から約35km、車で40?50分。新設の高速道路A3を利用するのが最短ルートです。
7. ヤーラ国立公園(ジープサファリ)
南東部のハンバントータ県に位置し、スリランカ最大級の国立公園。コロンボから車で約6時間。
ヒョウの生息密度が世界最高水準といわれ、乾季(6?9月)は観察確率が最も高くなります。ゾウ、バッファロー、クマ、シカ、孔雀、ワニなども見られ、バードウォッチングの名所でもあります。
サファリツアーは政府認可ジープのみが入園可能で、午前6時と午後15時の2部制。宿泊はトゥッサマハーラーマやカタラガマのロッジ型ホテルが中心です。
観光客の増加に伴い、レンジャー同行が義務化されています。
8. ダンブッラ石窟寺院
マータレー県北部にある仏教遺跡。シギリヤから車で約30分。紀元前1世紀に王が隠れ住んだ洞窟を寺院化したものです。
5つの主要洞窟に計150体以上の仏像と壁画が残り、保存状態は非常に良好。特に第2洞窟「大寺院(マハ・ヴィハーラ)」は長さ52mの涅槃仏が印象的です。
内部は撮影可ですが、三脚の使用は禁止。入口から約350段の石段を登る必要があります。
周辺には果物市場や香辛料店があり、地元産スパイスを購入できます。
9. ミヒンタレー(仏教伝来の地)
アヌラーダプラの北東約12km。紀元前3世紀にインドからの宣教師マヒンダがスリランカ王に仏教を伝えた地です。
標高約300mの丘の上に仏塔や石段が整備され、頂上からはアヌラーダプラ平野を見渡せます。
6月のポソン祭では全国から巡礼者が集まり、灯明と経文朗読が夜通し行われます。観光客の訪問は日中が一般的で、日没後は登山禁止。
10. ネゴンボ(空港近郊のリゾート)
空港から最も近いリゾート地で、初日または出発前の滞在に適しています。
オランダ運河が街を横断し、漁港、ビーチ、カトリック教会が並びます。早朝の魚市場では地元漁師の競りが見学できます。
ビーチ沿いのホテルではヨーロッパ系旅行者が多く、サーフィン・シュノーケリングの拠点にもなっています。
乾季(11~4月)は海が穏やかで遊泳可能、雨季(5?9月)は波が高くなります。
スリランカは、限られた面積の中に多様な自然と文化が凝縮された国です。
移動時間が比較的短く、2週間程度の旅行で北部遺跡・中部高原・南部リゾートをすべて巡ることも可能です。
治安は安定しており、主要観光地では英語が通じます。ビザは電子ETA制度で簡単に取得できます。
今後も観光インフラの改善が続いており、アジア地域の中でも再注目の目的地といえるでしょう。
執筆者: Sara Hashimoto
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